妊娠中の風俗勤務の女性がお腹を抱えている

風俗に限らず、女性と性行為をしたあとに妊娠の事実を突きつけられ、中絶費用や慰謝料など金銭絡みで揉めるという話はよくある話です。

しかし、一般女性との間で起きる妊娠トラブルと違い、風俗でのそれは違った様相の問題を孕んでいます。

具体的には、風俗での妊娠については、争いの相手方が女性だけでなく店の関係者が頻繁に登場することと、金銭関係で揉めて事が大きくなると、家族や友人・知人・職場に絶対に知られたくない風俗利用やそこでのトラブルが弱みとして働いてしまい、相手方からの脅し従わざるを得ない状況に持ち込まれやすいといった特徴があります。

では、こういった風俗での妊娠トラブルが実際に生じてしまった時に、どのような事態に陥ってしまうのか。また、そういう状況から脱するために弁護士はどのような流れで解決に導くのか。本当にあった2つの相談解決実例をもとに解説していきます。

実例①:妊娠中絶費用を払ったのに風俗店から損害賠償請求された

風俗嬢の妊婦がお腹を触っている

先日デリバリーヘルスを利用して、風俗嬢と本番行為を行いました。本番行為はデリヘルでは禁止されていることを知っていたのですが、周りの知人の中にも結構本番をしている人がいることや女性の中にも勧めてくる子がいることからそこまで問題にならないだろうと思っていました。

その時も女性は嫌がらなくて、「ゴムをつけてくれるならいいよ」ということだったので言われた通りに女性が用意していたゴムをつけて本番行為をしました。避妊はちゃんとできていたと思います。

サービスを受けたあとで女性が帰るとき、「絶対大丈夫だと思うけど、何かあったら連絡していい?」と言われたので「いいよ」といって携帯番号を交換しました。店には自分の個人情報は知らせていません。

それからしばらくして、女性から携帯に着信がありました。仕事中だったのであとで折り返してみると「妊娠した」と言います。あの後生理予定日が来たが生理がこなかったので検査薬で確認してみたところ、プラス判定が出たとのことです。

ちゃんと避妊をしていたし、こう言ってはなんですが他の客とも本番行為を行なっている可能性はないのか不審に思ったので、本当にあの日のことが原因なのか聞いてみました。

女性によると、「他の人とは本番行為をしてないから」「あの日以外考えられない」ということでした。ただ産むつもりはないので中絶などにかかる費用を払ってくれればいいとのことでした。費用の金額は20万円ということだったので、正直「20万円で解決できるなら」と思ってその後女性に20万円を支払いました。

女性からはその後しばらく連絡はありませんでしたが、今度は風俗店の責任者と名乗る男性から電話がかかって来ました。

男性は、私が本番をしたことで女性が妊娠してしまい、そのせいで仕事を休まれて困っていると言われました。検査や中絶にも費用がかかるので、損害賠償として200万円を請求したいと言ってきました。

私はすでに中絶にかかる費用としては20万円を女性に支払っていること、今回の件は女性と自分との間で解決したいと思っていることを伝えたのですが、男性は「うちの規約違反の責任も取ってもらわないと困る」と言います。

確かに規約に違反したことは事実ですが、だからといって200万円を支払わなければならないのは納得がいきません。そう伝えましたが、「じゃあとりあえず会って話し合いましょう」と事務所に来るように言われました。

こういったトラブルに遭遇した人の話をネットなどで調べてみましたが、事務所に行くと怒鳴られたり監禁のようなことをされたりして怖くて相手のいうことを全部聞いてしまったというような話がたくさん書かれてあったので、相手に会う前に専門家に相談した方がいいのではと思って相談しました。

女性に支払った妊娠中絶費用の20万円で今回のことを終わりにしたいと思っています。また、電話番号を風俗店に知られていますが今後電話をかけてこないようにしてもらいたいのですが。

解決に至った流れ

今回のケースでは、女性に対して中絶費用として20万円を支払った後に風俗店から200万円の損害賠償を請求されています。店の言い分としては、規約違反に関する損害賠償とのことですが、損害賠償であれば実際に出ている損害について金額を計算して相手方に請求するというのが基本的な考え方です。

参考:風俗の本番の損害賠償金は店に支払わなくて良い【弁護士が解説】

参考サイト:風俗店や女性に相場を超える損害賠償金を払っては絶対にダメな理由

風俗店の主張としては、中絶費用や検査費用、女性が休業している分の休業補償ということでしたが、まずは本当に損害が生じているのかを確認するためにも女性が妊娠しているかどうかの事実確認は重要でした。妊娠が虚偽の場合、店と女性が結託して妊娠中絶詐欺を行なっている可能性があるからです。

参考サイト:風俗嬢を妊娠させた時の4つの問題点と【失敗しない】3つの対処法

そこで、まずは女性が本当に妊娠しているのか、休業の事実は本当なのかについて慎重に調査を行なったところ、女性が妊娠している事実はなく、今回のケースは妊娠詐欺の疑いが高いと判断しました。

また、相談者の希望としては20万円をもって今回のトラブルは解決して欲しいということだったので、風俗店には示談金なしの示談交渉を行うことにしました。

弁護士が介入したことで風俗店が示談交渉に応じる姿勢を取ったため、相談者が事務所に行く代わりに弁護士が代理人として店長と交渉しました。妊娠の事実が疑わしいこと・損害賠償についても法的根拠がないことを伝え、示談金なしで示談を交わすことができました。また、電話番号やその他の個人情報についても破棄することで合意し、最後に示談書を交わして今回の件は終了しました。

実例②:風俗嬢から、妊娠による休業補償を払ってと脅されている

子宮のあたりに手を添える風俗嬢

少し前ですが、デリヘルを利用して自宅に風俗嬢を呼びました。何度か指名して馴染みのある女性だったので少し気を許していたのもあって、行為の途中で女性に本番をしてもいいか尋ねたところ、ゴムをつけてくれたらとの返事だったのでその通りにゴムをつけて本番行為をしました。

ところが行為が終わって見てみるとゴムが破れていたようで、それを見た女性が動揺し始めてしまいました。「妊娠しやすいからもしも妊娠してしまったらどうしよう」と言われましたが、まさか妊娠するはずがないと思ったので「大丈夫だよ」となだめてその日は別れました。

二週間くらいして女性からメールがあり、「あの本番行為が原因で妊娠してしまった」とのことでした。こんなことを言うのはどうかと思いますが、本当に妊娠しているのか、相手が本当に自分なのかが疑わしいため、刺激しないように本当に妊娠しているのかとメールを返しました。

女性からは「検査に行ったから間違いない」「本番行為は他の人とはしていないからあなたが相手だ」というメールが返って来ました。

翌日「中絶したいから費用の30万出して」とメールが届きました。相手は私で間違いないとのことですが、まさか本当に妊娠してしまうとはとこちらも動揺し、相手に申し訳ない気持ちもあったので言われるままに30万円を支払いました。いろいろ調べたところ、風俗で本番行為をした結果妊娠させてしまった場合は中絶などにかかる費用を少なくとも半分は負担する必要があると知ったからです。

お金を渡すときに、念のためにもう一度本当に自分が相手なのかを聞きました。すると相手は憤慨したらしく「じゃあ診断書見せようか?」と返事が返って来たため、「ごめん。わかった」と答え、診断書などは見せてもらいませんでした。

しかしその数週間後に、「中絶して体がおかしくなってもう風俗で働けない。10日仕事を休んでいる。こうなったのもあなたのせいだ」とメールが来ました。私は申し訳ない気持ちで謝りましたが「じゃあ誠意を見せてよ」と言われ、休業補償として100万円を請求されました。

申し訳ない気持ちはあるものの、100万円は大金です。このまま言われる通り支払っていいものか悩み、知人にそれとなく相談したところ「本当に自分の子を妊娠していたのか?そもそも妊娠していたのか?まずそこを確認したほうがいい」と言われてしまいました。その上「休業補償なんて支払う必要はない」とも。

言われた通りに女性に連絡し、本当に自分が妊娠させてしまったのなら今回の100万も払う。だから証拠を見せて欲しい」といって、診断書を見せてくれるよう頼みました。しかし、診断書はもう捨ててしまってないそうです。他にも証明となるような書類を出すことはできないと断られました。

妊娠自体が怪しいと感じたので、「じゃあ貴女が働いている風俗店に確認する。妊娠は大ごとだからお店も把握していないはずがない」と伝えると、それは脅迫だと言ってきました。

私は困ってしまい、このままでは100万円を払うわけにはいかないと伝えていますが、実は相手の女性には名刺を渡していますし本名も知られています。自分はそれなりに地位もある上にFacebookなどのSNSも利用しているので、このことを公にされてしまうのはダメージが大きいのです。

「お金を払わないならどうなるかわかってるよね」と暗に脅しのようなことも言われました。なんとか解決できないでしょうか。

解決に至った流れ

今回のケースは、妊娠したことの証明となるものを提出することを拒んでいます。これは妊娠詐欺である可能性が高いケースと言えます。

妊娠詐欺とは、本番行為を行なった相手に対して妊娠したと偽って中絶費用を要求するものです。男性側も本番行為をしてしまったという負い目がありますし、男性客が既婚者であることも多いために風俗嬢に妊娠させてしまったことは男性にとってもダメージが大きいのです。そこを突いて金銭を要求してきます。

今回のように女性が単独で詐欺行為を行うこともありますが、風俗店がバックについていることもあります。悪質な店は反社会勢力とつながっており、利用客の弱みを握ってお金を払わせようとあの手この手を使ってきます。妊娠詐欺も利用しやすい手口です。

参考サイト:妊娠詐欺の判別法と、悪質な手口に騙されないための対応・対処方法

今回の件は、まず本当に妊娠しているのかの確認をするところから始めました。全ては妊娠しているという事実が前提となっているため、妊娠していないのであれば、女性が休業補償として請求している100万円を支払う根拠もなくなります。

さらには中絶費用として支払った30万円についても「法律上の原因なく」利益を受けたことになるため、民法703条の不当利得返還請求を主張できる案件です。

妊娠について慎重に調査を行なった結果、女性は妊娠している事実がないと判断しました。そこで弁護士から女性に連絡し、まずは風俗を休んだことによる休業補償の100万円の支払いについて拒否することを伝えました。その後、堕胎費用の30万円についても返還を求めましたが、「お金がないから払えない」との返答が返ってきました。不当利得であることについては認めるものの、返すあてがないと言うことのようです。

こちらが取れる手段としては、訴訟を起こして強制的に返還を求めるという方法がありました。しかし男性に確認したところ、相手が馴染みの女性だったこともあってそこまではしたくないとのことでした。また裁判となると費用や時間もかかるため、30万円を取り戻すために裁判をするのは費用対効果が低いという判断もあったようです。

最終的には弁護士が示談書を作成し、この30万円の支払いを持って示談金とし、今後一切この件に関してお互いに金銭を請求したり争うことはしない・この件は第三者に口外しないということで合意となりました。

参考サイト:風俗トラブルが起きたとき示談書面に【必ず盛り込むべき】2つの条項