200万円の札束が入った財布

先日、自宅でデリヘルを利用しました。デリヘルで本番をするのは規約で禁止されていることは知っていましたが、風俗嬢から本番はどうかと持ちかけられることもあってそこまで厳しく考える必要はないと自分は考えていました。

サービスを受けている途中で意図的ではなかったのですが挿入してしまいました。慌てましたが、その時風俗嬢は何も言わなかったので、挿入してもいいものと思いそのまま性行為をしてしまいました。

その時は成り行きで挿入してしまったので避妊はしていません。しかし風俗嬢から騒がれることもなく、気持ちよかったね、と言って普通に帰って行きました。

しかし後日デリヘルから携帯に連絡が入りました。「女性が無理矢理本番されて中で出されたって泣いてるんですけど。規約にも書いてありますよね?悪質な行為なので警察に行こうと考えています」という内容でした。

確かに、風俗嬢に対して本番をしてもいいかという許可は取っていません。しかし拒否された事実もないため、「無理矢理やってない」と相手に伝えました。

相手の男性は、「いきなり本番をされて、怖くて何も言えなかったと本人は言っている。これは強姦だ。どうしてくれる」とさらにまくしたててきます。

風俗嬢が無理矢理されたと言っている上に、こちらから本番をしていいのかの確認もしていない以上、自分の言い分が通ることはないと諦めた私は「警察だけはやめてください」と答えました。

自分には家族がいますし、穏やかな生活を送っています。強姦罪で警察に逮捕されてしまえばその後どうなるのか、考えただけでも血の気が引く思いでした。

「警察に行かれたくない気持ちはこっちにもわかる。じゃあ示談しましょう。後日店に来てください」と男性に言われ、その日は電話を終えました。

後日男性に言われた住所に行ってみると、そこはデリヘルの事務所のようでした。中の応接室のようなところで男性と顔を合わせました。

男性は、私の名前を確認すると何やら書類を出してきました。よくみるとそれは領収証がコピーされたものです。

「○○さんが女性に対して本番をした後、証拠を残すために女性に検査に行ってもらってます。その時に陰部にケガをしていたので治療もしました。その領収書と、アフターピルの領収書です」と男性が説明してきます。

男性の話によれば、その後風俗嬢は出勤して来ていないとのことで、あの本番行為がショックだったに違いないとのことでした。店にも大きな損害が出ている。本当は女性の気持ちも考えると、自分を警察に突き出してしかるべき罰を受けさせたいところだが、家庭も仕事もあることを考慮してなんとか気持ちを抑えた。

この責任としてこちらは200万円なら手を打てると考えている、と言われました。

さすがに示談金として200万円というお金は大きすぎるのではないかと感じ、返事ができずに黙っていましたが、「まだ時間が経っていないのでわからないが、もしかすると妊娠しているかもしれない。以前にも同じようなことがあった。

妊娠していたとしたらこんなものでは済まない。だが、もし今回妊娠が発覚したとしても示談で解決する以上、200万円以上の損害が出ても請求はしない」と言われました。

この交渉を拒めば、警察に逮捕されるうえ、妊娠が発覚でもしようものなら大変なことになると怖くなった私は、「わかりました」といって示談に応じ、示談書にサインをしました。

その後帰宅していろいろ調べてみたのですが、妊娠中絶詐欺という悪質な手口を使うデリヘルもあることを知りました。正直、今回の示談にも示談金にも納得がいっていません。示談交渉をやり直し、示談金を引き下げることはできないのでしょうか。

解決内容

今回のケースでは、本番に対して風俗嬢との合意はありませんでした。風俗嬢との合意がない場合には損害賠償などの支払い義務が生じることがありますが、それでも相場としては数万円〜10万円程度のものです。

今回は示談金として200万円を要求され、依頼者もそれに応じています。原則として一旦示談で合意してしまえば、同じ内容で改めて示談をやり直すことは困難です。

ただ、今回の場合は相手から「警察に行きたいが、示談に応じるなら行かない」「妊娠している可能性も否定できない」などと言われています。この言葉に影響され、「警察に行かれるくらいなら」と怖くなって示談に応じていますので、依頼者が自由意志を持って示談に応じていません。

これは民法上の強迫行為にあたるため、意思表示を取り消すことができます(民法96条)。これを根拠に、示談書の効力取り消しと示談交渉のやり直しを先方に要求しました。

依頼者と相談した結果、自分にも非があることを認められ、デリヘルから提示された医療費の領収書に関しては支払っても構わないとのことでしたので、これをもって示談金とすることを主張しました。

弁護士が間に入ったことによって示談交渉の場では依頼者の利益を主張し、希望に沿った形で示談をまとめることに成功しました。

示談交渉の場には当事者である風俗嬢は出席していませんでしたが、デリヘルとだけ示談が成立してもそこに風俗嬢が関係していなければ、今後女性からお金を請求されるなどのトラブルが続く可能性があります。

そこで、デリヘルには当事者女性の委任状を用意してもらい、性行為を行なった当事者間で示談交渉を完結させることができました。

後日、男性に対してデリヘル及び風俗嬢からの連絡や請求は一切ありません。