示談書を書く男性

先日デリヘルを利用しました。サービスを受けているうちに本番がしたいと思ったので、女性に本番をさせてほしいとダメ元で交渉しました。
女性は「じゃあお金払ってくれたら。」と言うので、「いくら?」と聞くと、少し考えたあとで「1万円」と言われました。
私は「いいよ。」と答え、合意のもとで本番をしました。女性はそのあとも何も言わず、サービスが終わった後に帰って行きました。

私もそのまま店を出て帰宅したのですが、帰宅途中で携帯に知らない番号から何度も着信がありました。仕事でも使っている携帯電話だったので、取引先からの電話かと思って出てみるとデリヘルの男性スタッフです。
「うちの女の子と本番したってほんとですか?」と聞かれました。女性がバラしたか、バレてしまったようです。最初は否定していたのですが「いや、あんたからお金もらって本番したって言ってるんだけど」と男性の口調が強くなって行きます。

全てバレてしまっていると観念して、本番をしたことを認めました。男性は「規約読んだ?」と聞いてきました。
「うちの店の規約に、本番した客は損害賠償で100万円払ってもらうって書いてあるから。書類とか書いてもらうんで明日事務所にきてください。免許証もってますよね?身分証明書忘れないでください。あと、逃げても無駄なんで。」と言われ、電話が切られました。

正直ゾッとしましたが、携帯電話の番号も知られています。携帯番号から本名や住所を割り出そうと思えばできると聞いたことがあったので、怖かったのですが、とりあえず話せばわかってもらえると思ったので、次の日お店に行きました。

昨日電話をかけてきた男性が事務所にいました。机の上には白い紙が置かれています。
「これ、サインしてください。あといつまでに払えるかもちゃんと書いて」と、紙が置かれている机の前に座らされ、ペンを渡されました。私は昨日のことを男性に謝罪し、もうしないと誓うということと、100万円もの大金は持っていないので払えないことを伝えました。

男性は「私に謝られても困ります。被害者はうちのスタッフなんで。それに一気に払えないなら分割でもいいですから。とりあえず、うちの規約に書いてあることなんで」と全く打てあってくれません。

絶対にサインできないと困り果てて、ペンを持ったままかなり長い時間そこにいたことを記憶しています。そのうちしびれを切らしたのでしょうか。
「じゃあ80万円で手を打ちましょう。本当はこんなことしたくないけど、これも規則なんで。うちもそれ以上は負けられませんよ。本番された女の子を病院に連れていって検査を受けさせないといけないし、その後の仕事にも影響するし。指名客もついてる人気の嬢なんでね、1日休まれたらどれだけ損害が出るかわかりますよね?ほんとはこんなもんじゃ済みませんよ、他の店だったら。警察行かれたり家族にこのことばらされたりしますからね」と男性は淡々と言ってきました。

100万円から80万円に損害賠償を減額され、そのあとの男性の説明ももっともだと思ったことから、これ以上抵抗するのは自分の身勝手なのかもしれないという気持ちになってきました。それにこのまま抵抗していれば、男性が翻意して警察に行こうと言い出すかもしれないという恐怖心があったのも事実です。

もう一度謝罪して、その書類にサインをして免許証のコピーを渡しました。
男性から「じゃあこれで示談成立ということで。帰っていいですよ」と言われたので、店を後にしました。

そのあとも、家族にも言えずにずっと考えていました。80万円という示談金はあまりに高額ではないかと思います。しかし示談に合意したというのも事実です。もうどうにもならないのでしょうか。

解決内容

今回の事例では、男性から風俗嬢に本番を持ちかけた時に料金の上乗せを提示されています。このことから、二人の間では本番をすることに対しての合意があったものと思われます。
しかしデリヘルのスタッフには「無理矢理された」と伝えているとの話ですが、その後の話し合いの流れや損害賠償の額面から、悪質なデリヘルに言いくるめられた可能性は高いと判断しました。

確かに示談交渉の際に「男性の説明ももっともかもしれない」と考えて示談金の金額などに合意しています。男性の自由意志があるとも取れそうですが、自由意志で示談に合意したとすれば80万円の減額や支払い拒否は難しいところです。

しかし、サインできずにその場で固まっていたところデリヘルのスタッフから「他の店ならこんなものでは済まない」「警察にいかれたり家族にばらされたりする」などの発言がありました。
男性はこの発言を受け、「このままサインをしなければ警察に行かれてしまうかもしれない」という恐怖心を抱いてサインをしています。これは民法上の強迫行為に当たる可能性があり、自由意思があるとは言えず示談書の効力を取り消す主張が可能になると考えました。(民法96条)

早速デリヘルにそのことを伝え、示談交渉をやり直したいと弁護士から申し入れました。デリヘルもそれに応じたため、改めて示談交渉を行うことになりました。

今回のデリヘル側の主張としては、女性の検査費に加えて休業補償も損害として請求したいとのことでしたが、検査費はともかく休業補償に関してはデリヘルに支払う義務はありません。結果としては検査費用の実費、それから規約に違反して本番行為を行なったことに対する謝罪の意味を込め、一般的な本番トラブルの損害賠償額である10万円をもって示談金とすることで合意しました。

なお、示談書の署名欄には風俗嬢の署名がなかったことから、風俗嬢からデリヘルへ示談の委任状を提出してもらいました。その後、男性に対してデリヘル及び風俗嬢からの連絡は来ていません。