ATMにキャッシュカードを入れる男性

先日デリバリーヘルスを利用したのですが、本番行為がしたくなってしまい女性に交渉しました。女性は最初拒んでいましたが、どうしても本番行為がしたかったのと、他の風俗嬢ならすぐに合意してくれていたのにという先入観もあって「頼み続ければ大丈夫だろう」と思ったので拒まれても何度か交渉しました。

しばらく交渉したのち「ゴムをつけるならいいよ」と言って女性が持っていたゴムを渡してきたので、そのままゴムを受け取って挿入しました。

サービスが終わって着替えも済んだので、ラブホテルの部屋を出ようとしたのですが、いつの間に風俗嬢が呼んだのか、風俗店の男性スタッフが部屋に入ってきました。突然のことに驚いていたら、男性から「◯◯さん(私の名前です)、ダメじゃないですか女の子が嫌がってるのに本番行為しちゃ」と言われました。女性の姿はもうありません。やばいと思いました。

引きずられるようにして部屋を連れ出され、事務所に連れて行かれました。事務所ではスキンヘッドの男性を含む強面の男性が3人椅子に座ってこちらを見ていました。

「本番は規約でも禁止されてるって知ってますよね?」と、その中の男性の一人から言われ、私は怖くてただ謝ることしかできません。
「謝られても仕方ないね。規約にも書いてあるけど損害賠償払ってね。100万円ってかいてあるでしょ」と男性が目の前に利用規約の紙を出してきました。そして財布から免許証を取り上げられ、男性のスマホで免許証を撮影されました。

まさかこんなことになるとは思っていなかったので私はパニックになってしまい、その後のことは詳しく覚えていませんが、気が付いたら男性に車に乗せられていました。

「銀行どこ?」と聞かれ、最初は意味がわからず黙っていましたが、「お前が使ってる銀行どこや」と大声で怒鳴られました。そして利用している銀行のATMに連れて行かれました。

「金下ろしてこい。逃げるなよ」と言われ、車から一人降ろされました。100万円を払わなければ返してもらえないということのようです。私は観念して、ATMに行き、その口座に残っていた20万円を下ろして男性に手渡しました。男性は「残りはいつ払えるんや」と聞いてきたので、給料日があと2週間後だったことを思い出して「とりあえず2週間以内には払えます」と答えました。

男性は「わかった。払わんかったらどうなるかわかってるよな」と顔を近づけて低い声で聞いてきたので、「わかってます」と答えると、そのまま車に乗って去って行きました。

家に帰り着いてもしばらく震えが止まりませんでしたが、家族にこのことを知られるわけにはいきません。なんとか平静を装ってその日はやり過ごしましたが、相手には携帯番号を知られていますし免許証のデータも撮られています。

給料日が来たからといって残りの80万円もの大金は払うことができません。確かに嫌がる女性にしつこく本番を要求した私に責任があるのはわかっていますが、損害賠償として100万円も払わなければならないのでしょうか。

解決内容

今回のケースでは、風俗嬢と本番をしたことに対する損害賠償として100万円を要求されています。まずこの損害賠償についてはデリヘルに支払う義務はないものです。

常識的なデリヘルであれば、損害賠償請求をしてくるにしても実際の損害額を明示して請求してくるか、あらかじめ違約金として定める金額も数万円から10万円程度と高くはありません。しかし、今回は100万円と高額な上に実際に損害が発生しているかどうかも不明の段階で請求されています。

また、男性は損害賠償を支払うことに合意していませんが、恫喝した後で無理やり車に連れ込んでATMにまで男性を連れて行き、お金を払うしかない状況に追い込んでいます。これは刑法上の恐喝罪(刑法249条)に該当します。

以上の点を踏まえて、損害賠償の請求を拒むとともに風俗嬢と示談交渉をするという方向で当弁護士事務所の弁護士が対応しました。損害賠償の支払いを拒否することを弁護士からデリヘルの男性スタッフに伝えましたが、弁護士が入ってきたことによって相手からの請求は止みました。

しかし相手は相談者の免許証の画像を保存していますので、このまま放置するわけにはいきません。また、支払った20万円についても可能な限り返却するよう求めたいところです。
そのため、改めて示談交渉を希望し、交渉の場に臨みました。すでに支払った20万円は不当利得による返還請求(民法703条)を主張しましたが、デリヘルのスタッフは「本番行為によって女性が陰部に障害を負ったため、病院で検査を受けた」と主張しその明細を提示してきました。

今回のケースは相談者の男性が繰り返し本番行為をしたいと女性に求めていることから、病院の検査代については相談者が支払うことで合意しました。その他にも本番行為が原因でかかった費用などを弁護士とデリヘルのスタッフとで確認し、また相談者にも合意を取り、実費に少し色をつけた10万円を相談者から損害賠償および示談金として支払うことで合意に至りました。

相談者の男性は痛く反省していることをアピールし、今後はこのデリヘルだけではなくチェーン店にも出入りしないことを条件に、免許証の画像を削除してもらうことに成功しました。
示談書の署名の際には本番行為を行った風俗嬢の署名がなかったため、風俗嬢の委任状を合わせて提出するよう求めました。それから数ヶ月経ちますが、デリヘルおよび風俗嬢側からは相談者に対してなんらかの連絡も要求も来ていません。