警察官に取り押さえられる男性

デリヘルやヘルスなどの風俗店で気分が盛り上がって風俗嬢と本番行為をしたところ、後から「無理やり本番強要されたから犯罪だ」と騒がれた…こういったケースは枚挙に遑がありません。店の関係者からも「強姦は犯罪だから警察に行きましょう」と言われ、警察に行きたくないならお金を払うよう求められて弁護士に相談に来られる方が多くいらっしゃいます。

しかし、本番行為をすることが違法行為として犯罪扱いになるかどうかは、刑法の強姦罪という法律に該当する行為である必要があります。そこで、風俗嬢が本番強要されたと主張すればお客が犯罪者として逮捕されてしまうのか、法律や事例をもとに弁護士が検証していきます。

風俗での本番強要が違法犯罪になる「暴行・脅迫」の程度とは

まずそもそも、風俗で本番行為をすること自体が違法なのかという点ですが、実はこれは違法であり立派な犯罪です。売春防止法という法律で「売春(つまりは本番)してはいけない」としっかりと規定されています。

売春防止法第3条

何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない。

しかしこの3条に違反した場合の罰則をこの法律では規定していません。つまりは、違法な犯罪であると謳ってはいますが罪に問われることはないのです。

さて、問題は、風俗嬢が無理やり本番を強要されたと言い立ててきた場合に、お客が犯罪者として警察に逮捕されてしまうのか否かといった点でしょう。これについては、刑法177条の強姦罪が成立するかどうかを検証しなくてはなりません。

刑法177条:強姦罪(現在は、強制性交等罪という名前に変更されています)

暴行又は脅迫を用いて13歳以上の人に性交、肛門性交又は口腔性交(「性交等」)、または、13歳未満の人間に性交等をすることを内容とする犯罪である。

強姦罪とは、暴力や脅しで13歳以上の人(男女不問)に、セックスやアナルセックス、口膣性交を強要した場合に成立します。また、13歳未満の者は性的なことに関しての判断能力が低いので同意があったとしても性行為等があれば成立するとされています。

なお、強姦未遂罪になるかどうかは性器を挿入したかどうかによりますが、挿入行為がなかったとしても暴行や脅迫行為が行われていれば強姦未遂です。

そして、この法律が風俗での本番行為に適用されるかどうかの線引きとして最も重要なのが、「暴行や脅迫を用いて」本番をしたのかどうかです。強姦罪が成立するための暴行や脅迫の程度については、最高裁判例で、「相手の抵抗を著しく困難にする程度」という判断基準が出ております。

参考サイト:強姦罪における暴行・脅迫の程度に関する裁判例

強姦罪が認められた4つの事例

上記の、「相手の抵抗を著しく困難にする程度の暴力や脅し」とはどのようなものか、言葉で解説するよりも、まずは実際に風俗嬢への強姦罪が成立し逮捕された4つの事例を見てみましょう。それにより、どの程度の行為が違法な犯罪として取り扱われるかがわかります。

1.体を押さえつけて乱暴した

デリヘルを利用した男性が女性の肩を押さえつけて本番を行い、女性がお店に報告した事例がありました。容疑者は強姦の現行犯として逮捕されています。本番についての合意はもちろんない上に、体を押さえた行為が強姦罪での「暴行」にあたるという判断の上の逮捕となったようです。

参考サイト:デリヘルの女性暴行容疑で医師逮捕

2.スタンガンを突きつけて脅迫

もう一つの実例では、風俗嬢に対してスタンガンを突きつけて「殺されたいのか」などと脅迫した上で現金を奪った上に性行為を行うという紛れもない犯罪の事例です。この場合は強姦罪に合わせて強盗罪の容疑でも逮捕されています。しかしこのケースは、性サービスの最中に本番をしたわけではなく、単純に金銭と強姦目的の犯罪です。

参考サイト:デリヘル嬢をスタンガンで脅し強盗強姦、覚せい剤注射も

3.店に侵入し二人の女性を暴行

自衛隊員が風俗店の出入り口をこじ開け、休憩中だった勤務中の女性二人に怪我をするほど噛み付くなどの暴行を加え強姦に至った事件です。裁判では心神耗弱状態であったことが認められましたが懲役5年の実刑判決が下っています。これも、性風俗のサービス中の本番強要で問題となったわけではありません。

参考サイト:「死んだ自分がやった」休暇中の海士長 早朝の風俗店に乱入して女性2人を強姦

4.監禁して集団強姦

ネットの掲示板で知り合った3人の男が、出会い系サイトの援デリでやってきたデリヘル嬢を車で空きビルに連れ込み5時間にもわたって強姦し続けた事件です。空きビルに連れて行くまでに意識を失わせるために薬を飲ませたり、拳で顔を殴るなどの暴行も加えており、集団強姦事件として3人とも逮捕されています。

参考サイト:デリヘル嬢を監禁し集団レイプ

風俗嬢が無理やりされたと主張したら逮捕されるのか

上述の事例のように、風俗で無理やり本番をしたとして違法な犯罪と判断された事例は実質1件だけであり、逮捕された理由も、暴行や脅迫が行われている極めて悪質な行為ということがお分かりいただけると思います。このような行為を伴っていなければ、本番強要したと認められることはないでしょう

よほどの強い力で風俗嬢を押さえつけるなどの暴力を振るったり、命や身体に危険が及ぶのではと思わせるような脅しの発言があって初めて本番強要があったとして強姦罪が成立します。同意があった場合はもちろんのこと、明確が同意がない本番行為、つまりは、単なる流れでしたような場合には犯罪とはならないのです。

相談先の弁護士事務所によっては、「女性が無理やり本番されたと主張しているなら犯罪で逮捕される可能性がある」と言ってくる場合があります。性被害者が女性の場合は証言が通りやすい、だから逮捕される危険がある、というのがその理由にあるようですが、女性の証言だけで判断しては冤罪が生まれかねません。一般的な強姦事件と、本番行為による風俗嬢による強姦の主張とでは状況が全く異なることから、警察も違法性の判断基準は厳格にしています。

参考サイト:風俗での本番や盗撮は犯罪として警察に逮捕されるか【弁護士が解説】

実際の警察の対応の一例

当弁護士事務所に寄せられた依頼内容をご紹介します。(個人情報保護のため、個人が特定される内容は省略し、シチュエーションも若干変更しています)

男性はデリヘルを利用した際に女性に対して本番行為を持ちかけました。一旦断られたものの数回交渉して女性が了承したので性器を挿入したところ、女性が騒ぎ始めたので途中で行為を中断しました。その後デリヘルの男性スタッフがホテルの部屋に訪問し3人での話し合いになったところ、女性は「無理やりされた」と主張。男性スタッフはそれを受け「強姦罪で警察にいかれたくなかったら200万円払え」と損害賠償を請求してきたという事案です。

この時男性は損害賠償金の支払いを拒んだことと、女性が強く憤慨しており「絶対警察に行ってやる」と息巻いていたことから抗いきれずに警察署に連れて行かれました。当直の警察官が対応して2人の主張を一通り聞いた後「強姦罪として逮捕するには証拠が足りない。女性の言い分についてはこちらでもしっかりと聞いたが、男性の話も交えて総合判断すると強姦罪に当たるとはいえないため事件としては取り扱えない」ということで帰され、逮捕されるに至っていません。

このように、警察に突き出されてその場で風俗嬢が強姦を主張したとしても、警察はそれを鵜呑みにすることはありませんので安心してください。もちろんとりあえず逮捕されることなどありえません。事件として取り扱われないまま帰されることがほとんどです。

本番強要に関する相談解決の実例

相談事例①:いつも本番OKのデリヘル嬢が無理やりされたと賠償請求してきた

不機嫌そうな顔で腕を組んで睨みつける風俗嬢

先日デリバリーヘルスを利用しました。いつも利用させてもらう馴染みの嬢だったので実は何度か過去にも本番をさせてもらったことがあります。その日は疲れていたこともあってか余計に盛り上がってしまい、「中に入れていい?」と風俗嬢に尋ねたところ「やだ」と言われたのですが、つい挿入してしまいました。

相手の風俗嬢は挿入した時にも特に拒んだりはしなかったので、嫌だというのは建前のことで本当は本番してよかったんだと思っていました。しかし、風俗嬢を呼んだラブホテルを出る時に待ち構えていた男性スタッフに呼び止められ「嫌がってるのに無理やり本番したって本当ですか、女の子が泣きながら訴えてきたんですけど」と言われました。

本番をしたことは事実ですが、嫌がっているのに無理やりしたなんてありえません。私は強く否定しましたが、「店に帰ってきて泣いてるんだよ、いい加減にしろ!」と怒鳴られました。とりあえず来いと背中を突かれ、事務所に連れて行かれました。風俗嬢はそこにはいませんでした。

風俗店の事務所の椅子に座らされ、「これ知ってるよね?」と見せられたのは利用規約です。そこには、無理やり本番をした場合には即刻警察に突き出すことが書かれており、規約については知っていたので「はい」と答えると、次に「示談書」と書かれた書面を渡されました。

示談書を見ると、本番強要を行ったこと、その責任を取って損害賠償金として100万円を支払いますと書かれています。しかし100万なんてとんでもありません。とても払える金額ではないので、「ちょっと待ってください、そんな額は払えません」と答えました。すると男性は、「わかった。じゃあ警察に無理やり本番されたと被害届を出すわ。強姦罪で警察に逮捕されたら会社にも家族に合わす顔がなくなるけどいいの?」と言われました。

参考:風俗で示談を交すときに絶対に守って欲しい7つの注意点と支払金相場

風俗嬢が無理やりされたと警察に申告すれば捕まるのではないか、また、逮捕されないにしても会社や家族の知るところになるのではないかといった不安で胸が押しつぶされそうになりましたが、100万円もの大金をすぐに用意できるものでもなく黙って俯いていたところ、「話にならないようだから、明日にでも警察に強姦の被害届を出すから覚悟しておけ。お前の勤める会社や家族にも連絡するから」と言われ事務所を追い出されました。その際、身分証のコピーと会社の名刺をとられています。

事務所をでてスマホで風俗トラブルについて相談できる弁護士事務所を探してすぐにお電話させて頂きました。

解決に至った経緯

このケースは、金銭の要求はあったもののそれについては承諾していないので金銭的な実害はありませんが、「警察に無理やりされたと被害届を出す」と言われています。

女性に無理やり本番強要したと警察に判断されて逮捕されることが最も恐れることですが、もし逮捕されなくても、今後家族や会社に風俗でのトラブルがばれてしまうことを恐れていました。

まずは、今回のケースでは、女性が「嫌だ」と口にしていたとはいえ、暴力や脅し文句を言うなどの行為が一切ないことから無理やりに本番したとは認められず強姦罪は成立しないことを伝え依頼者には安心していただきました。

しかし、今回は悪質なデリヘル店である可能性があること、免許証などの個人情報を悪用される危険性が否定できないことから、店に対しては免許証などの個人情報の破棄を求めました。と同時に、依頼者やその関係者に対して一切の連絡を禁止するよう警告を与えました。

また、店が主張する女性への損害賠償についても、そもそも法律上強姦罪が成立しないことを説明したうえで支払わない旨を明確に伝えました。店長は憤慨していましたが、法律上勝ち目がないと分かると、最低限、女性が病院で検査をした検査料とアフターピルの処方費用を支払うよう求めてきました。

今回のケースは男性側も女性との合意がなかったことについては認識して反省していることから、この費用については依頼者男性が負担することとし、これをもって示談金に換えることで合意しました。合わせて個人情報を破棄してもらうこと、今回の件については一切他言しないという秘密保持条項を示談書に盛り込むことができたため、その後男性に対して店及び女性からの請求・嫌がらせ等は起こっていません。

相談事例②:流れで本番をしたら慰謝料200万払えと恫喝された

強姦しただろとなじられ土下座する男性

いつも利用しているデリバリーヘルスの予約が取れなかったので、前から気になっていた別の店を利用しました。担当についてくれた女性とは相性が良かったようで話も弾みました。

サービスを受けているうちに本番行為をしたくなってしまったので、女性に「本番してもいい?」と尋ねました。女性は「ダメだよ〜」とやんわり拒絶していたのですが、あまり嫌がっていない風に感じたのでそのあとも何度か交渉しました。

そのうちいやだと言わなくなったため、了承してくれたものだと思ってゴムをつけて本番行為を行いました。

サービスを受け終わった後、女性が「ちょっと待ってて」と部屋を出て行きましたが、下着を着てしばらく待っていると男性が「ちょっとすみません」とホテルの部屋に入ってきました。そして、「お客さん、本番行為は規約で禁止してるの知らないの?」と聞かれました。どうやら女性が店のスタッフに先ほどのことを報告したようです。

私は動揺し、「あ、いえ…」と曖昧に答えていましたが、「うちの子が本番強要されたって言ってるんだけど。あんた無理やりしたの?これって違法だよね?」とだんだん男性の口調が強くなっていきました。

私は本番強要をしたつもりはなく、同意があったと思っていたことを伝えましたが、男性は聞く耳を持たず、奪われるようにその場で免許証とクレジットカードを取られました。さらにその場で土下座をするよう強制され、その姿を写真に撮られてしまいました。

「本番強要をするのは強姦にあたるって知ってるよな」と土下座をしている私の前に立って男性が言い、「今から警察行こうか」と手を取られたためそれはまずいと思って「本当に申し訳ありません」と何度も謝りました。男性は「うちのスタッフが怯えて仕事にならなかったらどうしてくれる?責任とってよ」とまた強い口調で言ってきました。

その後服を着て風俗店事務所に連れて行かれ、念書に署名をするように言われました。念書には「私は本番強要を行いました。つきましては○○(女の子の源氏名)に慰謝料として200万円を支払います」というようなことが書いてあったと記憶しています。

200万円もの大金をすぐには用意できません。しかしサインをしなければ警察に連れて行かれてしまうと思いました。ボールペンを持ったまま固まっている私のことを男性は腕組みをして見ています。

「本番強要は犯罪になるってわかってただろ!お前を警察に突き出したら今の会社もクビになって牢屋にぶち込まれて200万の損害じゃ済まなくなるぞ!」と男性がしびれを切らしたのか、私に怒鳴りつけ、テーブルに置いてあった灰皿を壁に投げつけました。あまりの恫喝にとにかくこの場を終わらせたかった私は、震えながらサインしました。

後日携帯に男性から連絡があり、慰謝料はいつまでに支払えるかと聞かれたため、「すぐには払えません」と伝えましたが期日を区切ることを求められました。その時に「払わなかったら警察に強姦罪の被害届を出しに行くから」とは言われ、約束は守れよ、と言われ電話が切れました。

警察に行くことは絶対に避けたいと思っています。しかし、200万円もの罰金を払うことは経済的に難しいのが現状です。なんとか解決できないでしょうか。

解決に至った経緯

今回のケースでは、男性の行為が本番強要になり、強姦罪になると店舗側の男性が主張しています。

しかしそう伝えることによって相談者の男性に対して恐怖心を植え付け、慰謝料として200万円を払わせようという手口です。この男性の恫喝ともとれる言動は刑法上の脅迫罪や強要罪(刑法222条・223条)に該当する可能性もありました。

参考サイト:法律が苦手な人のために脅迫罪・恐喝罪を弁護士がわかりやすく解説

相談者は途中から断らなかったので女性の合意があったと認識していたようですが、合意があったかどうかは明らかではありませんでした。

たしかに、デリヘルでのサービスはラブホテルや自宅など風俗店から離れた場所にある個室で行うため、力が弱い女性が自分で身の安全を守るのは難しいものです。利用客の中には刺激をすると急にカッとなって暴力を振るったり、何をするかわからなかったりという危険な利用客もいるため、あまり強く拒絶することは返って身の危険を強めることになると考えて対応する女性もいます。

しかし、今回のケースでも相談者は暴力や脅迫行為を行なっていないため、刑法177条の強姦罪の構成要件には該当しません。たとえ風俗嬢が、拒絶することでお客が激高してなにをしてくるか分からないので怖くて本番を受け入れたと主張したとしても、実際にお客が風俗嬢が心理的に反抗できないほどの畏怖を与える言動がない以上は、法律上、本番強要したとして犯罪扱いになることはありません。

相談者の希望としては、サインした念書の効力を取り消して慰謝料を払わなく済むようにしてほしい・免許証とクレジットカードの情報を悪用されないようにしてほしいとのことでした。

そこで弁護士は、風俗の男性スタッフが恫喝した言動をもって警察に訴えることをほのめかし、念書にサインを強要したことは強迫にあたるとして、民法96条に基づいて念書の効力を取り消すことを主張しました。今回弁護士が交渉に当たったことでデリヘルの男性店員の態度は軟化したため、改めて示談交渉を行い示談書を締結しました。

まとめ

風俗での本番行為は売春防止法3条違反となり違法ですが、この法律は単なる売買春である3条に罰則規定を設けていないため罪に問われることはありません。また、女性がたとえ無理やり本番強要されたと警察に言ったとしても、女性が反抗するのが極めて難しい程度の暴力や恫喝をしたことが明確でない限り、強姦罪という犯罪として警察に逮捕されることもありません。

つまり、風俗での本番行為が犯罪として取り扱われるケースは極めて稀ということです。

しかし、警察署によっては風俗店や女性の証言を鵜呑みにして厳しい取調べを行ってくることも少なくありません。たとえ犯罪が成立しないにせよ、長時間に及ぶ警察の取調べで疲弊してしまう人も中にはいることでしょう。

また、本番強要されたと騒ぎ立てて警察への被害届を仄めかす女性や店の思惑は最終的に「お金」であることがほとんどです。免許証や健康保険証、時には携帯番号から個人情報を得て、自宅や勤務先に連絡するなどの嫌がらせで罰金や示談金を請求してくる相談も後を絶ちません。

参考:風俗で免許証などから個人情報を知られたらすぐに行うべき対策法

当弁護士事務所では親身誠実に、そして早急に風俗トラブルを解決することをモットーに全国対応で24時間無料相談を受け付けております。

「無理やり本番をされたと騒がれて警察に取調べを受けたが今後のことが心配」
「女性の明確な同意がなかったので違法行為だから裁判で訴えると風俗店から言われている」
「本番強要は犯罪だから警察に被害届も出すし、家族や会社に知れることになると脅かされている」
「罰金や示談金、慰謝料を執拗に請求されている」

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